進路アドバイス:学部選択~経済学部・経営学部・商学部


 いわゆる「経済」関係の学部としては、経済学部・経営学部・商学部などが挙げられますが、基本的な位置付けとして経済学部は「経済学」という学問を学ぶ所、経営学部は経営者サイドに立って、「経営」を学ぶ所、商学部は「ビジネス」全般を学ぶ所と言ってよいでしょう。

 経済学には家計・企業といった個々の経済主体の行動を解明するミクロ経済学と、政府・国家が主体となるマクロ経済学、さらには国家間の経済関係を扱う国際経済学から、特定の分野に特化した金融論などがあります。経営学はマネジメント(経営・管理)が基本ですが、ここには簿記・会計の知識から、人的資本も含めた様々な資源管理、マーケティング(市場調査)など、多様な要素を含みます。商学は会計学・商法・会社法を始め、流通・販売・広告活動など、社会で行われるあらゆる商取引・商行為を対象とします。

したがって、大ざっぱに言って学問的理論的にきっちり学びたい人なら経済学部、ゆくゆく経営者・企業家となって活躍したいと考えている人なら経営学部、ビジネスの基本を学びたいという人なら商学部ということになるでしょう。


<MBA(経営学修士)とCPA(米国公認会計士)をダブルで取った人の実例>

 アメリカに留学してMBAとCPAのダブル・ホルダーとなったナッシーくんのケースです。彼は2浪して日本の大学で入り、くすぶっていましたが、4年生の時に留学することにしました。最初にしぶっていましたが、周囲がしきりに勧め、アメリカ東海岸の小さな大学に行ったのです。アイビーリーグでも何でもない、日本では無名に近い大学でしたが、彼には水が合ったようで、学食もおいしくメニューも豊富で、半年も経たないうちに丸々としてきました。元々、経済学部にいた彼は特に成績がよかったわけでもありませんが、アメリカの大学のレベルはピンキリで(中には「アメリカ人」の「大学生」のための「英語」の授業すらあるそうです)、経済学部でも数学や数字が苦手な人もおり、英語を除けば、日本人の学力はそれなりに通用するようです。

 一応、彼は日本にもちょこちょこ帰って卒業単位だけはそろえ、アメリカでも大学を卒業した後、近くのこれまたそれほど有名でもない大学院経営学部修士課程に入学しました。ここで2年間学んでMBAを取り、合わせてCPAの試験にも挑戦してこれにも受かったので、現地の会計事務所に就職しました。ナッシーくんは結婚したこともあり(相手は現地で知り合った日本人です)、日本へ帰ってきて就職することにしましたが、就職先は外資系で世界最強の投資会社ゴールドマンサックスです。初任給は何と800万円だそうです。これもMBAとCPAのダブル・ホルダーだったことが大きく評価されたようですね。

 ほんの数年前に日本でさえない大学生をしていた頃と比べると、変われば変わるものです。


【簿記検定】

 会計・税務系資格の入り口は簿記検定です。日商簿記検定1級または全経(全国経理学校)簿記能力検定上級の合格がスタートとなり、会計・税務系ではこれが事実上のエントリー・レベルとして広く認められています。


【公認会計士】

 経理・会計分野の最高峰の資格。業務は会計監査、財務、経理などで多岐にわたります。かつてはコンサルティング業務が花形でした。試験のうち短答式は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法について行われ、総点数の70%が合格基準です。論文式は、会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法および経営学・経済学、民法、統計学の中から1科目について行われ、52%の得点比率を基準として、公認会計士、監査審査会が相当と認めた得点比率が会計基準となります。


【税理士】

 試験科目は簿記論と財務諸表論が必修、法人税か所得税のいずれか選択必修、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、事業税または住民税、国民資産税および選択必修科目として選択しなかった科目のうちいずれか2科目を選択します。科目合格制があるので、合格した科目はずっと有効であるため、働きながら受験していって5科目合格を達成していく人も多くいます。


【不動産鑑定士】

 不動産の鑑定評価が独占業務であり、短答式試験は不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論について行われ、論文試験は民法、会計学、経済学、不動産の鑑定評価に関する理論(演習含む)からの出題となります。


【中小企業診断士】

 国、地方自治体、商工会議所の実施する中小企業への経営支援を行う専門家としての側面と、民間のコンサルタントとしての2つの側面を持ちます。登録者の7割以上は独立開業は行わず、企業内診断士になっています。


【社会保険労務士】

 労働社会保険諸法令により行政機関への提出が義務付けられている帳簿や書類の作成、提出代行、相談、指導を行う労務のエキスパートです。


【米国公認会計士(CPA)】

 国際会計基準の導入により注目を集めています。筆記試験は企業財務会計及び公会計、法規、ビジネス環境及び概念、監査及び検証の4科目で、100点満点中75点を取れば合格です。まず受験する州を決め、その州での受験資格を取得し、筆記試験を受けることになります。


【米国税理士(EA)】

 役割は日本の税理士と一緒で、税務申告書の作成から税務コンサルティングまで、米国税法の専門家として活躍できます。米国公認会計士と違って受験資格がなく、東京でも受験が可能です。日本企業の海外進出や米国企業の対日進出、在米日本人の納税申告や在日米国人の納税申告などについての業務や、二国間税務コンサルティングなどの業務が期待されています。


【ファイナンシャル・プランナー(AFP・CFP)】

 個人のライフプランに応じた資産設計をアドバイスする専門資格。 国家資格としては1級・2級・3級ファイナンシャル・プランニング技能士があり、2級はAFP(基礎資格)試験を兼ねています。合格者はAFP認定研修を修了し、日本FP協会に入会することで、AFPになることができます。1級はCFP(上級資格)試験を兼ねておらず、国際的に通用するCFPを取得するためにはCFP試験に合格し、CFPでエントリー研修を修了し、3年以上の実務経験をしてCFPになることができます。AFP・CFPいずれも継続教育が義務付けられ、資格更新要件となっています。


【MBA(経営管理学修士)】

 ビジネスリーダーに必要な学際的スキルを身につけるもの。アメリカの経営大学院(ビジネススクール)トップ20の優位は揺ぎなく、できればこれらのいずれかを卒業することを目指したいものです。





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