進路アドバイス:学部選択~社会学部・福祉学部・心理学部


 社会と名のつくものは全て社会学部に含まれます。福祉系・心理学系の勉強も入りますので、「心理学をやりたいけど、心理学部・学科は競争率が高くて難しい」という場合、関連学部へ行って心理学を学ぶという道もあります。さらに「広告代理店へ行きたい」という希望であれば、社会学部へ入って社会心理学や社会学、統計学など一通り学び、いろいろな経験を積んでコンテンツ(中身)作りに徹し、できれば在学中からバイトで入って仕事を覚えながら、顔と人脈を広げるというのが常道です。

 ちなみに心理学は文字通り、「心」の学問です。人文系の学問ですが、唯一自然科学の方法が導入され、成功している分野で、「科学的」であるということが大きな特徴となっています。心理学を専門に研究するならば、心理学科に進む以外ありませんが、ここでの難点はその数が少なく、競争率が高いことです。5~6倍はまず普通、10倍を超えるケースも珍しくありません。しかも、心理学の専門家としてやっていこうとするなら、大学院に行くことも考えるべきですし、ひいては留学ということも考えられます。

 したがって、心理学を専門に勉強し、将来それで食べていくとなれば、相当な決意をし、勉強して準備しなければならないことを自覚しておくべきです。逆に少し興味がある程度なら、専門にするのではなくもっと入りやすい学部を選んだ方が賢明です。


<カウンセリングの実例>

 仲間内で「カウンセリングのプロ」と呼ばれていたネモトくんのケースです。彼はドラえもんのような体型に宍戸錠の頭が載っている人なつっこい人物(子供にも大人にもおじいちゃんにもおばあちゃんにも不思議なくらい好かれる人です)ですが、彼によれば「昔は引っ込み思案だった」と想像もつかないようなことを言います。彼が変わる「きっかけ」となったのは、高校時代に母親に頼まれて、親戚の自閉症ぎみの子供の面倒をみたことだそうです。

 彼はその子にあれこれと思いつく限りのことを話しかけますが、一向に反応がありません。関心・興味がありそうなことを言ってみるのですが、とうとうお手上げとなりました。すると、その子はたまたま耳がかゆくなったみたいで、右耳に手をやりました。それを見ていた彼はすかさず同じように右耳に手をやったのです。それをじっと見ていたその子は、今度は左耳をポリポリやり始めたので、彼も間髪を入れずに左耳をポリポリしました。再びじっと見ていたその子は、今度は右手をゆっくり左肩に、さらに左手をゆっくり右肩にやって交差させました。そして、サッサッサッと高速で右手・左手を引いたり置いたりしたのです。もちろんネモトくんは間髪を入れず、高速で右手・左手を同じように入れ換え、全くその子と同じ動きをしたのです。それをじっと見ていたその子は、初めて笑いました。そこからポツポツと自分のことを話し始めたのです。この間、何の言葉も交わされていません(同じ部屋にたった2人きりで黙って両手をサッサッサッと高速でやり合っている光景は、考えただけでも吹き出しちゃいますね)。しかし、これは最高の「カウンセリング」と言えるでしょう。人の「心」は「水」のようなもので、同じ高さになった時、自然に流れていくのです。この時、ネモトくんのいとこの心の「水門」が開いたわけですね。

 ネモトくんはこの時以来、大きく変わったのだそうです。


【国家公務員】

 「心理」という試験区分があります。法務省で矯正教育(少年院など)に携わったり、厚生労働省・警視庁に入る場合もあります。


【教師】

 教育原理、教育心理学、教育史、教育法規、一般教養、専門試験からなります。教育心理学は必修であり、教育現場はカウンセリングの基礎知識・技術がないと難しい所です。


【認定心理士】

 日本心理学会が認定する、心理学の基礎資格。心理系の大学を卒業すれば、申請すれば取れます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室などがあります。


【産業カウンセラー】

 日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格で、誰でも受験でき、基礎的、入門的資格として知名度が高いと言えます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室などがあります。


【公認心理師】

 日本で最初の心理職の国家資格です。公認心理師カリキュラムを持つ4年制大学の学部を卒業後、特定の機関で2年以上の実務経験を積むか、公認心理師カリキュラムを持つ大学院に入学・修了し、国家試験に合格すると、公認心理師資格が与えられます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室、スクールカウンセラー、精神病院・クリニック、児童相談所、警察・家庭裁判所・少年院などがあります。





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