進路アドバイス:学部選択~薬学部


 薬学部は米国にならって6年制の専門教育の徹底化に踏み切りました。2006年度から医学部などと同じように6年間の修学の後に薬剤師国家試験を受けるシステムに変わったわけですが、大きな変更点として「臨床教育」の重視という点が挙げられます。これは例えば、従来は「実習」でも薬局で1ヵ月間ぐらいで済んだものが、6年制に移行してからは病院実習も含めて、その期間は6ヵ月間にも及ぶこととなったことに端的に見受けられます。

 こうした新カリキュラムを通して、薬剤師の位置付けを高め、従来は医師の処方通りに調剤するだけの存在だったのに対し、今後は医療計画策定段階から薬剤師が参加したり、予防医学などにも積極的に関わっていくことが期待されているようです。


【薬学部の人気は急上昇中】

 新設大学や薬学部新設の場合、受験倍率がはね上がっており、10倍以上はザラで、22倍に達した大学もあるほどです。また、「漢方薬学科」を設置したり、化粧品などを扱う「香粧品学」を開講する所もあり、時代のニーズに合った多様な展開も少しずつ見られ始めています。薬剤師は国家資格であり、しかも仕事が肉体的にハードではないため、女性に極めて人気が高く、男性でも医学部は無理だが、薬学部ならという受験生は少なからずいます。


【薬学部は受験しやすい】

 通常、私立大学薬学部なら英語、数ⅠA・ⅡB、化学(ないし生物)というパターンがほとんどです。数Ⅲがなく、理科も1科目でいいとなれば、「理系の中の文系」と言ってもいいでしょう(実際、国公立大学文系受験生ならこれらを全て受験するのみならず、さらに国語と社会2科目が加わるのが普通です)。最終的に得られるものの高さに比べて、入口の負担が少ないので、狙い目の学部と言えるかもしれません。ただ、学費の高さはそれなりに覚悟しておく必要があるでしょう。


【薬剤師国家試験】

 薬学部を出ていても、薬剤師の資格を持っていない場合、薬局で採用する場合は高卒と同等に見なすケースもあるぐらいですから、薬学部に行く以上、薬剤師国家試験は最低合格すべきものと考えるべきでしょう。ちなみに薬学部でも4年制を残す所はありますが、これは研究のために大学院へ進学するケースがあるためです。この場合はメーカーや製薬会社の研究職を目指すことが多いでしょう。


【解剖について】

 「医師と違って、薬剤師は人体に直接触れることはない。自分は血を見るのがキライだから、医師は向かないけど、薬剤師なら・・・」という人がたまにいますが、どんな医療系の資格でも「解剖」は必修です(医療系専門学校でもそうです。規模の違いはありますが)。意外に女性の方がこうしたことに強かったりして、男子生徒が解剖実習の後、1週間は菜食主義者になることもあるのに対し、女子生徒はその日のうちに「焼肉食べに行こー!」と言っていたりすることもあるそうです(もちろん、人によりけりですが・・・)。

 いずれにせよ、薬学部を目指して頑張っていて、途中で「解剖」が避けられないことに気付き、泣く泣く進路を変更する繊細な方もおられますので、事前の情報収集は抜かりなくしておきましょう。


【化学について】

 大学受験である以上、英語、数学の重要性は言うまでもありませんが、意外に重要な科目が化学です。旧薬剤師国家試験では6割は化学の内容であり、生物と物理がそれぞれ1割ずつといった比重でした。したがって、化学が苦手であれば、大学受験は何とかなっても、入学後の勉強では苦労を強いられることになりますので、得意科目にしておく必要があると言えるでしょう。





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