勉強のことで悩んでいる君へ

 勉強であれ、習い事であれ、仕事であれ、「失敗」というものはつきものです。これがあまり度重なると、心がとうとう折れて、「挫折」という「負の経験」として定着してしまいます。「失敗」はどれだけあってもかまいませんが、「挫折」は少ない方がいいに決まっています。では、どうしたらいいのでしょうか?
勉強曲線
 まず、「挫折のメカニズム」を知る前に、「勉強曲線」「学習曲線」「成長曲線」「Sカーブ」なるものの存在を知らなければなりません。これは何か新しいことに取り組んだ場合、その成果はしばらく現われず、ある時期を経て急激に上昇カーブを描き、また緩やかに落ち着いていくという「投入量」と「成果」との相関関係を表わしたものです。ここで肝心なことは、「最初に不毛な時期がある」という事実です。例えば英語であれば、勉強を本格的に開始してから最低一カ月、普通は三~四カ月は「やってもやっても出来る気がしない」という期間を通過します。実は挫折するのはほとんどがこの時期で、それもマジメにやっていないから挫折するのではなく、むしろマジメにやっている人ほど挫折しやすいのです。なぜなら、やってもやっても報われないので、「自分には無理だ」「この状態がずっと続く気がする。変わらないと思う」という気持ちがふつふつと湧いて出て来るからです。
 この時期は誰がやってもそうなので、こういう時期が最初にあることを知っているかどうかの大きな分かれ目となります。つまり、最初に「不毛な時期」があることを知っている人は耐えることができますが、それを知らない人は「この状態がずっと続く」かのような錯覚にとらわれて、気持ちが折れていくのです(拷問の中でも最も厳しい拷問は、穴を掘っては埋め直す、レンガを積み上げてはまた崩すといった、「無意味なことをさせ続けること」だと言います)。これは「知識」と「心構え」の差であって、決して「学力」「能力」の差ではありません。実際、最初が肝心なので、私もこの時期に関しては「座禅と思え」「この時期は修行と思うしかありません」「とにかく座ってやり続ける。それだけです」と言い続けています。
 そうしてある一定期間を経て、段々知識も増え、何度も目にするような問題も出て来て、次第に上昇気流に乗ってきます。この段階になると、挫折する可能性はぐんと減ってきます。問題がだんだん解けるようになってきたら、「何かおもしろくなってきたな」とはなったとしても、「じゃそろそろ止めようかな」とはならない訳です。これはビジネスでも同じで、初めて手がける仕事は軌道に乗るまでは大変ですが、いったん軌道に乗ってしまえば、それほど大変なことではありません。この上昇のきっかけとなるターニング・ポイントを「アイス・ブレーク(IB)」と呼びますが、初めての営業などでなかなか実績が出ない時、「あなたのIBはまだですか?きっともうすぐ来るから、大丈夫ですよ」と言って、励まし合ったりするものです。また、一度こういう経験を積んだ人であれば、全く経験のない、新しいことに取り掛かる場合でも、最初の「辛抱」と「突破」がはるかにしやすくなるのです。

人間関係



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