進路アドバイス:学部選択~理学部・工学部・理工学部


 理学部は基礎科学、scienceを学ぶ学部で、たいてい数学科、物理学科、化学科、生物学科(生命科学科)、地球科学科などに分かれています。工学部は応用科学、engineeringを学ぶ学部で、情報工学科、電気・電子工学科、機会工学科、建築学科、応用化学科などがあり、たいていの総合大学で最大の人数を抱えています。また、理学部と工学部の両方を合わせ持つ理工学部もあります。

 ちなみに現在の社会的なニーズとしては、AIやビッグデータ全盛の時代にあって、「優秀な理系が欲しい」というのが本音です。理系の代表的学部である理学部・工学部・理工学部は引く手あまたと言ってよいでしょう。

 しかしながら、いずれにしても研究キャリアが認められるのは大学院修士課程(博士前期課程2年間)からで、学部卒だと修飾市場では文系と大差ない位置づけになります。したがって、理学部・工学部ともに大学進学率は高く、平均で40%ぐらいですが、いわゆる研究型大学(リサーチ・ユニバーシティ。これに対して教育型大学をティーチング・ユニバーシティと言います)では80%を超えるとも言われています。ただし、大学院博士(博士後期課程3年)まで行くと、逆に研究者以外の道が無くなり、「ポスドク(ポスト・ドクター)問題」に直面します。これは博士課程を修了した人数に対して、ポスト(大学教員、研究所研究員など)が限られているという問題で、任期付きのポスドク研究員として採用されるものの、期限付き雇用で不安定という現状を抱えています。

 ところで、大学に入ってからの勉強で意外にネックなのが数学です。約半数以上の理系学生が数学を苦手にしているというデータもあり、特に教養数学の2科目(線形代数学、微分積分学)やその後の共通科目はきちんとクリアしたいところです。


線形代数学

 高校数学のベクトル、および行列の発展形です。ベクトル空間(同じ種類のベクトルの集合)と線形写像(原点を通る直線と同じような性質を持つ写像)の性質を調べる学問で、代数学の一分野です。線形代数は大学数学の基礎というだけでなく、理系分野の多くの学問で頻繁に用いられます。


微分積分学(微積分学)

 高校数学の微分積分の発展形です。局所的な変化を捉える微分と局所的な量の大域的な集積を扱う積分の二本の柱からなります。


微分方程式論

 高校数学の微分積分の発展形です。未知関数とその導関数(ある点での変化率)の関係式として書かれている関数方程式が微分方程式です。方程式論は解析学の中心的な分野で、フーリエ変換、ラプラス変換等は元々、微分方程式を解くために開発された手法です。


フーリエ解析

 高校数学の三角関数、微分積分の発展形です。あらゆる関数は三角関数の和によって表すことができ、このアイデアによって微分方程式が解けるようになります。


複素関数論

 高校数学の微分積分、複素数の発展形です。複素関数とは、自由変数と従属変数がともに複素数の範囲で与えられるような関数で、自由変数や従属変数を実部と虚部とに分けて考えることができます。


ベクトル解析

 高校数学の図形と方程式、微分の発展形です。微積分を使ってベクトルに関連した性質を調べるもので、ほとんど物理のためにあるような数学の応用分野です。


確率論・統計学

 高校数学の場合の数、確率、統計の発展形です。確率論は、偶然現象に対して数学的な模型を与え、解析する数学の一分野で、現在でも保険や投資などの分野で基礎論として使われています。統計学は観測された事象やデータから出発して、その背後にある本当の確率や起こっていることを説明しようとします。確率論が演繹的な考え方なのに対し、統計学は帰納的なアプローチと言えます。


【研究職】

 企業の研究所や大学の研究室、各種研究機関などで研究に携わります。研究以外には試験や鑑定を行う場合もあります。


【公務員】

 国家公務員と地方公務員に分かれており、理系(技術職)公務員の採用には土木、建築、機械、電気・電子、化学、農学などの区分が設けられています。


【教諭】

 中学校・高校の数学や理科の教員免許を取得することが可能です。


【学芸員】

 博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究や関連する事業を行う専門職員です。


【測量士・測量士補】

 土木工事の施行前に必要となるのが、土地の測量です。測量士補は測量士が作成した測量計画に従って、測量を行っていきます。


【建築士】

 建築物の設計および工事監理を行い、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があります。特に一定規模以上の建築物の構造設計については、一級建築士の資格が必要になります。


【弁理士】

 許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を取得したい方のために、代理して特許庁への手続きを行うのが主な仕事です。また、知的財産の専門家として、知的財産権の取得についての相談をはじめ、自社製品を模倣された時の対策、他社の権利を侵害していないか等、知的財産全般について相談を受けて助言、コンサルティングを行います。





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